オーストリアワインの代名詞
オーストリアのワインと言えば、Grüner Veltliner。
以前の記事のでもご紹介しましたが、オーストリアで栽培されるブドウの中で最も生産量が多い品種です。
白ブドウは全部で26品種が、オーストリアのワイン法での許可品種とされていますが、その中で断トツに多く、約30%がこの品種。
第2位のヴェルシュ・リースリングという品種が6.6%なので、その差は歴然ですね。
ちなみに、「グリューナーヴェルトリーナー」という表記と「グリューナーフェルトリーナー」という2種類の表記があります。
前者は日本ソムリエ協会の教本に記載されているもの。
後者は、おそらくドイツ語の発音に忠実に表記したものと思います。
ドイツ語で「V」は「ヴィー」ではなく「ファオ」なので。
特徴は?
シャルドネよりもリースリングやソーヴィニヨンブランに近いイメージ。
オーストリアに住んでいるときに、いろいろな地域のものを飲みましたが、軽やかなワインが多かったですね。
プチプチとした発泡感、すっきりした酸味もあるので、よく冷やして飲むとスイスイ飲めてしまいます。
香りは柑橘系やリンゴに加え白胡椒のスパイシーさもあります。
この品種の場合、現地の人は熟成させるよりも若飲み(ヴィンテージが古くないもの)を好みますが、私も個人的にそっちの方が好きですね。
最近では熟成タイプもあり、それはそれで美味しいのですが、フレッシュな方が品種の特性がでやすく、いろいろな料理にも合うと思います。
取扱中の2種類も違った個性で面白い
私たちのショップでは、PratschとPfafflのグリューナーヴェルトリーナーを取り扱っています。どちらもニーダーエスタライヒ州のWeinviertelのものですが、土壌と醸造方法によって味わいが異なります。
Pratschは「土壌の性質はそこで育つワインに反映される」という哲学のもと、土作りに徹底的にこだわっています。
そんなワインの特徴は、香りにトロピカルフルーツのようなニュアンスを感じる一方で、味わいはシャープな辛口。
「これぞグリューナー」と言える雑味のない素晴らしい味わいで、いくらでも飲めてしまうようなスッキリ感があります。
それに対してPfafflのものは、白胡椒や柑橘のニュアンス、味わいに果実感があるのが特徴的。これは醸造過程の酒石を安定させる工程に秘密があります。酒石を安定させるためには、一般的には冷却法という、ワインを冷却する方法で安定させますが、Pfafflの場合は、ワインの温度を変えることなく酒石を安定させる機械を使用しています。
温度を変えないことで、ブドウそのものの特性を残すのが狙いだそうです。
ちなみに、この機械を使っているのはオーストリアではここだけだとか。
同じ品種で同じ地域で造られたワインでも、香りや味わいが異なるのは面白いですね。
ぜひ飲み比べてみてください。